2011 7 14 南相馬市 一時帰宅を取材する 2-1 |
■ 梅雨明けの猛暑の中で行われた南相馬市の一時帰宅を取材。
一時帰宅と聞けば主催しているのは該当する地方自治体が行っていると
大抵の方は感じると思う。 しかし実際に現地に行ってみると違って
いた。 東京電力の社員とJNES 原子力安全基盤機構の関係者が大半で
あり、彼らが説明会の会場を仕切っているとみても良い。 地方自治体
の職員は一時帰宅者の受付や誘導を行い、ペットの世話は大学生などの
ボランティアが行っていた。
■ 一時帰宅の報道が少ない理由は報道規制が原因だった。
一時帰宅者への説明会が行われていた南相馬市片倉にある馬事公苑内の
体育館は扇風機こそ設置されているが風の当たらない場所の温度は40度
近かった。 取材陣の撮影する場所は体育館の入り口左隅に「プレス」と
書かれた立て札と工事用のカラーコーンとコーンバーで仕切られた一角
のみ。 つまり此処でしか撮影や取材活動はしていけないという事だ。
一時帰宅者への説明会は体育館の前側で行われ、目測での距離は50m位。
反対側で行われているので誰が何を話しているのか、話も聞けないし
写真も撮れない。カラーコーンの前には東京電力の社員が並び壁を作る。
カラーコーンから出れば原子力安全基盤機構の職員から「前に出るな」
と言われる。 全く何をしに此処まで来たのか分からなくなる。
これは報道関係者への嫌がらせであり、知る権利を侵害した不当な行為で
あると言わせてもらう。実際に原子力安全基盤機構職員の目を盗み前に
出て撮影したが、今度は囲まれて文句を言われる。
明らかに聞くな、調べるな、撮るなという実態。 実際に取材に来た記者
もこの扱いに呆れて帰ってしまうと南相馬市の職員から聞いた。
白い杖を持った高齢の夫婦も一時帰宅者のなかには多い。 猛暑の時期
に防護服を着てまで警戒区域に入るのは本当につらい事だ。規制線を越え
ないとこういった受付すら撮る事は出来ない。写真を見れば分かるがすぐ
前には東京電力の社員が立ちふさがり説明会の会場付近には近づけない。
熱中症防止の観点から長袖、長ズボンの一時帰宅者は防護服の着用は緩和
された。 但し帽子と手袋、足カバーは必要。 現地での滞在時間は2時間。
気温は35度になっていた。この気温でこの格好で参加しないと自宅に帰る
事が出来ないのは非常に辛い事だろう。
この場所でも原子力安全基盤機構の関係者が撮影を妨害する。 乗り込む所
を動画撮影しようとするとわざと三脚の前に立ちはだかる。 徹底的に取材
させないつもりのようだ。南相馬市の広報のカメラマンが居たのでお願いして
隙間から内蔵フラッシュで撮影させてもらった。
「カメラマンさん!この状況をちゃんと撮って外に伝えて下さい!」
とバスに乗る一時帰宅者からメッセージを貰った。